第14章 安楽行品 その3
◎ いかに身をふるまうか............ 身安楽行(しんあんらくぎょう)その2
親近(しんごん)というのは、何か求めたり、利用したり、おもねる気持ちがあって、権力者や金持ちに近づくことである。
まず第一には、権力者である国王、大臣、役所の長官などに近づいてはならないという。 原則として、何か利用する心や、へつらう気持ちで国王、大臣に近づいてはならないのである。
第二に、仏教以外の外道(げどう)や、邪法(じゃほう)を説く者や、つまらぬ文筆をもてあそぶ者、人のいうなりになる人や、何でも人の意見に反対を唱える「一言居士」(いちげんこじ)に近づいてはならない。
第三に、つまらぬ勝負ごと、拳闘や、相撲や力くらべ、魔術師などに近づいてそれに熱中してはならない。
第四に、生きものを殺す人に近づいて残忍性を助長してはならない。
第五に、自分だけの悟りを求める小乗の教えを奉じる比丘(びく)や比丘尼(びくに)に近づき、その教えを聞いてはならない。
第六に、婦人に教えを説く場合、相手にみだらな気持をおこさせるような態度をとってはならず、厳正な態度で教えを説かなければならない。
第七に、男性として適格を欠いた人になれ親しんでなならない。 男根の欠けたものは出家者の資格のないことが律の規定にもある。
第八に、ひとりで他人の家へ入ってはいけない。 もしどうしても行かなければならないときは、一心に仏を念じて、仏と二人で入ると考えなさい、という戒めである。
第九に、女性に説法するときは、なれなれしい笑顔で接してはならない。
第十に、稚児(ちご)のような美少年をそばにおいてはならない。
さらに経文は、第二の親近処を説く。それは静かな場所で瞑想にふけり、心を整えることが大切であると説く。
第一の親近処では、具体的個別的にこういう人間に近づいてはならないとか、女と親しく交わってはならないとか、差別の世界について説いたのに対して、第二の親近処では、一切の平等、空無の世界を説いている。
しかもこの差別と平等とは不二(ふに)であり、空無の平等の見方から、おのずとにじみでてきたのが差別の親近処なのである。
続きは次回…
法華経の入手の仕方や方法は
↓↓