釈尊と十大弟子、その7(阿那律)



2018 3 4

眼の見えない弟子の衣を縫(ぬ)う釈尊。釈尊を中心とする仏教教団の一つの微笑ましい姿が........


◎ 釈尊の十大弟子........ 釈尊の率いる仏教教団には、聖者の最高の境地である阿羅漢果(あらかんが)の悟りを開いた弟子が500人いた。その弟子を中心に、多くの信者が集まり、仏教教団を構成委していったのである。「十大弟子」 と 呼ばれる人々は、その中核となって教団を支えた弟子たちのことを指す

☆天眼第一 アニルッダ、別名を阿那律(あなりつ)

※睡魔に打ち克つ行の末に得た「真理を見る眼」


釈尊は、いつものように弟子や多くの信者たちに教えを説いていた。人々は、熱心にその声に耳を傾けている。すると、その中に一人うとうとと居眠りをする者がいるではないか。アニルッダ(阿那律)であった。

釈尊は、説法が終わると、アニルッダ(阿那律)を近くに呼び寄せて言った。「お前は、法を求めて出家したはずではないか。にもかかわらず、説法の最中に居眠りをしてしまう。どうしたのかね」 「申し訳ございません。気が緩んでおりました。今日から、たとえこの身が溶けてただれようとも、決して御仏(みほとけ)の前で眠るようなことはいたしません」 アニルッダ(阿那律)は、釈尊のまえに跪(ひざまず)き合掌して誓ったのであった。

以来、アニルッダ(阿那律)は釈尊のそばにいる間、夜更けであれ夜明けであれ、決して眠らなかった。かつて極端な苦行を否定して中道(ちゅうどう)を唱え悟りへの道を歩んだ釈尊は、さすがに心配して声をかけた。「アニルッダ(阿那律)よ、怠けることはもちろんよくないが極端な修行もいけません。さあ、お眠りなさい」 だが、釈尊の前で立てた誓いを、アニルッダ(阿那律)はどうしても破る気にはなれなかった。そのために眼が悪くなった。釈尊は、医師のジーヴァカにアニルッダ(阿那律)の眼の治療を頼んだ。だが、はじめから眠ろうとしない者には、いかに名医といえども手の打ちようがなかった

すべてのものが食事を摂ることによって存在している耳には声が食事であり鼻には香りが食事である。そして、眼には眠りが食事なのです。アニルッダ(阿那律)よ、もうお眠りなさい」 釈尊は、もう一度睡眠を勧めたが、アニルッダ(阿那律)の決意は固く、決して眠ろうとしなかった。そのため、とうとう失明してしまったのである。

アニルッダ(阿那律)が天眼第一といわれるようになったのは、肉体の眼を失ってからである。視力を失って、何も見えなくなってしまったとき、アニルッダ(阿那律)の永遠の真理を見る智慧の眼は明るく開かれたのであった。あるいは、これがアニルッダ(阿那律)の求めていたものだったのかもしれない。それからどのくらいの月日がたったときであろうか。ある日、アニルッダ(阿那律)は、自分の衣がほころびてしまったので、繕(つくろ)おうとした。だが、目が見えぬため、針に糸を通すことができない。「悟りを開かれた方々よ、私の針に糸を通して、さらに功徳を積もうとする方はいらっしゃいませんか」 すると、遠くから声がした。「アニルッダ(阿那律)よ、私が功徳を積ませてもらいましょう。さあ、その針と糸をよこしなさい」

それは、まぎれもなく釈尊の声である。「世尊よ、私は、悟りを開いた者で、この針に糸を通すことによって、さらに功徳を積もうとする者はいないか、と言ったのです。すでにあらゆる功徳を積まれ一切を成し遂げられた世尊にお願いするためではありません」

「アニルッダ(阿那律)よ、功徳を積むことにおいて私に勝る者はいないはずだ私は多くの功徳を積みたいと思っているでもそれは決して私自身のためではなく生きとし生けるものを救いたいがためなのだ」 釈尊はこう言うとアニルッダ(阿那律)の手から針と糸、そして衣を取ると、ほころびたところを繕い始めたのであった。

釈尊の心を知って、黙って衣を繕ってもらうアニルッダ(阿那律)。眼の見えない弟子の衣を縫(ぬ)う釈尊。釈尊を中心とする仏教教団の一つの微笑ましい姿が、まるで目に見えるようではないか。 (釈迦の本(学研)、その他参照)


追記、 アニルッダは肉体の眼を失っても智慧の眼を授かったのですね。眼には眠る事、耳に素敵な声(音楽もそうでしょうね)を聞き、鼻にはよい香りを(花の香りかな)それが栄養になっていくのですね。そう考えると、眼の栄養素には環境を整え(綺麗なものを見たり、安眠できる環境を作り、耳の栄養には気分が上がるような音楽鑑賞や歌を歌ったり、(現代ならカラオケなど気分もいいですよね!)そして、自分の口から出た言葉は一番最初に自分の耳に入りますよね。心が穏やかになるような優しい言葉を使うことも大事ですよね。

一切を成し遂げられて、徳積みの必要がないと思われていた御釈迦様ですが、自分のための徳積みではなく、また、弟子という立場に関係なく、生きとしいけるもののために徳積み…との言葉には素晴らしさを感じますね。お釈迦様のすべての生きとし生けるものの幸せを願う気持ちがあらわれていますね。 (白蓮堂から)


次回につづく。


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